システムインテグレーション再生の戦略/斎藤昌義,後藤晃
先週末で、システムインテグレーション再生の戦略を読んでいました。
途中話がそれ、まとまりがない文章になってしまいましたが、
簡単にまとめたいと思います。
システムインテグレーション再生の戦略 ~いまSIerは何を考え、どう行動すればいいのか?
- 作者: 斎藤昌義,後藤晃
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2016/01/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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【課題】
SI業界の課題の一つに、人月積算で受注額を決めておきながらSI事業者が瑕疵担保責任を負うというビジネスモデルがあります。
すなわち、
「システムエンジニアが当該プロジェクトを遂行するために何時間働くか」
という契約の上に、
「システムに不備があった場合は、SI事業者が責任を負う」
という契約が乗っているということです。
これによって、
ユーザー企業(発注元)が完成後に、SI事業者に対して納得いくまで作り直しを求めることができます。
当然SI事業者は、提案の時点で作り直しのリスクを踏まえて見積もりを提示すべきですが、競合他社と受注を争う以上、ぎりぎりの金額を提示することになります。
こうして、薄利のビジネスが出来上がってしまいます。
この課題に、多重下請け構造が合わさり、さらに薄利のビジネスとなってしまっています。
ただ、上流工程のコンサルや要件定義を行う大手企業、あるいは原価率が低い下流工程の保守事業を行う企業はある一定の利益率が確保できています。
【今後のトレンド】
筆者は、上述の課題を受け、今後のSI事業者のビジネスの大きな流れとして、オープン化、スマート化、サービス化を取り上げた上で、
ポストSIビジネスとして人月積算を前提としたビジネスからの脱却、他の収益体制構築の必要性を説いています。
具体的な戦略としては、
- ビジネス同期化戦略
→スピード感を持ったアプリケーション開発の実施
- アプリケーションプロフェッショナル戦略
→専門特化により、競合との差別化
- クラウドプロフェッショナル戦略
かなりざっとまとめました。
SI業界は、人月積算の受注型ビジネスという点で、
コンサル業界と共通点があります。
実際にコンサルティング業界も、
戦略系と言われるマッキンゼーやBCG、ATカーニーのように、
上流工程のコンサルを主とするファームから、
大手ファームから独立した方などが経営される専門特化型のブティックファーム、
常駐で人月型のビジネスを展開するファームなどがあります。
最近では、さらなる付加価値向上を目指し、
マッキンゼーがデザイン会社買収するといった動きがあるほか、
ドリームインキュベータは事業化の支援に力を入れるなど、
ビジネスモデルのさらなる多様化が進んでいます。
と、少し話が逸れましたが、
既存のビジネスで確実に収益を上げつつ、
いかに先を見据えた投資を行い、持続的に成長していくか
ということの重要性を改めて考えさられた一冊でした。