経営の針路
年末から年始にかけて読んだ本ですが、
「経営の針路」
マッキンゼーの元日本支社長 平野さんの著書です。
1990年の冷戦終結から、現在までの世界的な経済と企業経営の変化が
非常に簡潔にまとめられていて、良い1冊でした。
また、なぜ日本企業がその変化に対応できなかった(対応できていない)のか、
トランプのアメリカ大統領就任を代表やイギリスのEU離脱などに代表される、
ナショナリズムの台頭という近年の流れに対して企業がどう行動すべきかと言ったことに関しても言及されています。
大きな流れとしては、冷戦終結に伴い、
1.グローバル経済の形成と拡張
2.キャピタル経済の拡大
3.デジタル経済の勃興
が起こりました。
少し詳しく見ると、
1.グローバル経済の形成と拡張
・冷戦終結に伴い、旧東欧諸国が西側の民主主義・自由主義の枠組みに取り込まれる
・新興諸国の経済が先進諸国の経済と連結され、拡大
→結果的に経済におけるグローバルの枠組みが広がっていく
2.キャピタル経済の拡大
→(市場原理を重視する)新自由主義の拡大と金融経済の拡大
3.デジタル経済の勃興
・軍縮により先端技術や有能な人材が市場に流出
→インターネットをはじめとするテクノロジーの進展
以下は本の内容+私見ですが
この中で、企業は事業が多角化し同時に管理すべきリソースも膨大になっていきます。
すなわち従来のように経営トップがあらゆる意思決定に介在することはできなくなりますし、
そうしようとすれば意思決定のスピードが失われ、競争力を失います。
ここで必要なのは、戦略的思考により企業の目指すべき方向性(ビジョン)を共有し、
意思決定権を委譲していくことです。
また、環境変化に柔軟に対応するための組織改革や人という資本を中心に据えた経営が必要です。
日本企業はこれらの部分について、バブル崩壊の影響もあり、
世界のスタンダードから取り残されてしまったのではないでしょうか。
非常にざっくりと書きましたが、
サクッと読めて、良くまとまっている良書でした。