アジアカップ決勝の吉田選手のプレーはハンドだったのか?
南野のゴールで追い上げムード中起こった問題のシーン
今回は少し趣向を変えて、アジアカップの吉田選手がハンドを取られたシーンについて考察してみたいと思います。
ご覧になっていた方はご存知かと思いますが、
0-2から南野のゴールで追い上げムードの中、コーナーキックで競り合った吉田の腕にボールが当たりました。
問題のシーンはこちら(2:10〜)
公式ルールにおける記載
公式ルール(2018-2019)版の日本語訳に置いて、
ハンドリングの反則は下記のように規定されています。
ボールを手または腕で扱う
競技者が手または腕を用いて意図的にボールに触れる行為はボールを手で扱う反則である。
次のことを考慮しなければならない:
・ボールの方向への手や腕の動き(ボールが手や腕の方向に動いているのではなく)
・相手競技者とボールの距離(予期していないボール)
・手や腕の位置だけで、反則とはみなさない。
もともと英文であるものを和訳しているからかもしれないですが、
少し解釈が必要です。
まずは、”意図的に”が意味するところです。
そのまま解釈すれば、”わざとかどうか”と言うことになりますが、
「ハンドリングの反則を回避し得たかどうか」と理解するのが適切かと思います
その上で、
・ボールが手や腕の方向へ動いたか、手や腕がボールの方向へ動いたか
・ボールの距離から見て、避けることができたか
・手や腕の位置がどこにあったか
を考慮すべき、と言うことになります。
ただし、3つの要素はあくまで”考慮すべき要素”なので、
これが反則か否かの決定的要素ではないと考えるべきです。
JFAの解説動画を見てみる
(3:30〜)
こちらの動画を見る限り、
・避けることができたか
・手や腕がプレーをする上で通常の位置にあったか
の2点が重要なポイントであるように思えます
改めて、吉田のプレーはハンドだったか
改めて吉田のプレーを見てみると、
・ヘディングされた位置から吉田の腕の位置までの距離が近く、避けられなかったことは容易に判断できます
・一方、吉田が競り合った瞬間に腕の位置が頭と同じくらいの高さにあり、これは自然な位置とは言えません
以上から考えれば、ハンドの判定は妥当と思われます。
ワールドカップ決勝の判定は?
昨年のロシアワールドカップ決勝でもVARの末にPKが与えられたシーンがありました。
(0:45〜)
https://www.youtube.com/watch?v=GrsEAvRerTg
このシーンは、腕の位置は自然と言えます。
一方、ボールが来る瞬間にペリシッチの腕がボールの軌道上に動いてきています。
したがってこのシーンもハンドの反則を取る余地があります。
最後に
VARの導入により、今までは見逃されてきた微妙な判定についても
再度検証し、判定が下されることになりました。
審判が確実に見えていないシーンについては見逃されるケースが多かったところから、全ての反則が反則として判定されることになり、DFとしてはかなりプレー、意識の変革を求められているのは言うまでもありません。
しかしながら、一番難しいのはレフェリーです。
これまでは、"見えなかった"として判定を下していなかったプレーに対しても、
VARが導入されたことにより、正確な判定を下すことが求められます。
このことはレフェリーのレベル向上に繋がると思いますし、
実際に今回のアジアカップでは、10年ほど前によく言われた"中東の笛"は
ほとんどなかったように思います。
各チームのプレーの質はもちろん、レフェリーの質も飛躍的に向上していると感じた、アジアカップでした。