アジアカップ決勝の吉田選手のプレーはハンドだったのか?

南野のゴールで追い上げムード中起こった問題のシーン

今回は少し趣向を変えて、アジアカップの吉田選手がハンドを取られたシーンについて考察してみたいと思います。

 

ご覧になっていた方はご存知かと思いますが、

0-2から南野のゴールで追い上げムードの中、コーナーキックで競り合った吉田の腕にボールが当たりました。

 

問題のシーンはこちら(2:10〜)

www.youtube.com

 

公式ルールにおける記載

公式ルール(2018-2019)版の日本語訳に置いて、

ハンドリングの反則は下記のように規定されています。

ボールを手または腕で扱う

競技者が手または腕を用いて意図的にボールに触れる行為はボールを手で扱う反則である。

次のことを考慮しなければならない:

・ボールの方向への手や腕の動き(ボールが手や腕の方向に動いているのではなく)

・相手競技者とボールの距離(予期していないボール)

・手や腕の位置だけで、反則とはみなさない。 

 

もともと英文であるものを和訳しているからかもしれないですが、

少し解釈が必要です。

 

まずは、”意図的に”が意味するところです。

そのまま解釈すれば、”わざとかどうか”と言うことになりますが、

「ハンドリングの反則を回避し得たかどうか」と理解するのが適切かと思います

 

その上で、

・ボールが手や腕の方向へ動いたか、手や腕がボールの方向へ動いたか

・ボールの距離から見て、避けることができたか

・手や腕の位置がどこにあったか

を考慮すべき、と言うことになります。

ただし、3つの要素はあくまで”考慮すべき要素”なので、

これが反則か否かの決定的要素ではないと考えるべきです。

 

 JFAの解説動画を見てみる

(3:30〜)

www.youtube.com

こちらの動画を見る限り、

・避けることができたか

・手や腕がプレーをする上で通常の位置にあったか

の2点が重要なポイントであるように思えます

 

改めて、吉田のプレーはハンドだったか

www.youtube.com

改めて吉田のプレーを見てみると、

・ヘディングされた位置から吉田の腕の位置までの距離が近く、避けられなかったことは容易に判断できます

・一方、吉田が競り合った瞬間に腕の位置が頭と同じくらいの高さにあり、これは自然な位置とは言えません

以上から考えれば、ハンドの判定は妥当と思われます。

 

ワールドカップ決勝の判定は?

昨年のロシアワールドカップ決勝でもVARの末にPKが与えられたシーンがありました。

(0:45〜)

https://www.youtube.com/watch?v=GrsEAvRerTg

 

このシーンは、腕の位置は自然と言えます。

一方、ボールが来る瞬間にペリシッチの腕がボールの軌道上に動いてきています。

したがってこのシーンもハンドの反則を取る余地があります。

 

最後に

VARの導入により、今までは見逃されてきた微妙な判定についても

再度検証し、判定が下されることになりました。

 

審判が確実に見えていないシーンについては見逃されるケースが多かったところから、全ての反則が反則として判定されることになり、DFとしてはかなりプレー、意識の変革を求められているのは言うまでもありません。

 

しかしながら、一番難しいのはレフェリーです。

これまでは、"見えなかった"として判定を下していなかったプレーに対しても、

VARが導入されたことにより、正確な判定を下すことが求められます。

 

このことはレフェリーのレベル向上に繋がると思いますし、

実際に今回のアジアカップでは、10年ほど前によく言われた"中東の笛"は

ほとんどなかったように思います。

 

各チームのプレーの質はもちろん、レフェリーの質も飛躍的に向上していると感じた、アジアカップでした。